第六話【合併の話】
第六話【合併の話】
先の「第二話」で述べたように「北海道将棋会館(土地・建物)」は『公益目的支出計画』があって、法
的規制により売却ができないことになっています。
しかし会館建物は老朽化し修繕を要します。
その資金もありません。
では、どうした良いか。
改革推進本部では、道将連が日本将棋連盟と「合併」するという計画を考えました。
(その後「合併」は結局、うまくいかなかったのですが、どういう計画だったか振り返ってみましょう
。)
<合併には「新設合併」と「吸収合併」があります。>
◆A社とB社が合併して新たにC社を設立する場合これを「新設合併」という。
この場合A・B両社は消滅し、それらの権利義務は全てC社が引き継ぐ。
◆X社とY社が合併し、X社が存続しY社が消滅する場合これを「吸収合併」という。
この場合Y社の権利義務は全てX社が引き継ぐ。
今回の計画では、道将連が消滅し日将連が存続し、日将連が道将連の権利義務を全て引き継ぐ「吸収合
併」を採用しました。
一方が公益社団法人で他方が一般社団法人のケースでの合併も適法です。
そして、あえて「公益法人」を存続させるのが肝(キモ)です。
そうなれば、消滅する道将連の権利(所有権=会館土地建物)を日将連が引き継ぎます。
日将連は公益社団法人ですから、その行為は全て「公益目的」と解されます。
ですから自らが所有する不動産を売却換金する行為も特に禁止されてはいません。
なので、もし日将連が道将連を吸収合併して会館(土地・建物)を引継いで所有することになったら、
これを売却することも可能なのです。
公益社団法人と合併したことにより『公益目的支出計画』はリセットされるのです。
道将連は会館を売却できないが、合併して日将連の不動産ということになれば、売却できる。
ちょっと不思議ではありますけど、合法です。
売却しないで、老朽化した会館の修繕費を日将連が負担して下されば、なお有難いですけど、
日将連もそう資金が潤沢ではないでしょう。日将連からの先行投資は期待していませんでした。
でも売却して資金化して、その資金で新たに別な不動産を賃借して「道場」や「日将連北海道本部」が
設置されたら、八方丸くおさまります。
新道場となる賃借不動産として、現実に札幌市中央区の狸小路で候補物件を見つけてもいました。
道将連としては、日将連に次のように交渉しました。
(1)合併すること
(2)会館を売却した資金は道内棋界のために使うこと
(3)その資金で新道場を賃借すること
(4)そこに日将連の北海道本部を置くこと
(5)運営は本来的には日将連となる(が、しかし↓)
(6)道内アマ棋界が全面的にバックアップして盛り立てていくこと
この合併計画のリスクとしては、何があるでしょうか。
おそらく最初の2~3年は上手くいくでしょう。
買い手の手ごたえは有り、会館を売却できないということは無さそうでしたし、
適した賃借物件が見つからないわけでもありませんでした。
売却資金を充てれば実現可能な計画と考えられます。
リスクが有るとすれば、それは、2~3年のその後に襲ってきます。
新道場がうまく繁盛して道内棋界が活況になれば良し。
そうではなくて閑古鳥が鳴いていたら困ります。
道場収入が乏しくて賃借不動産の家賃の支払いが難しくなるようではいけません。
そうなったら日将連は、道場を閉鎖し北海道本部を撤退するかもしれません。
日将連にとっては、撤退は対外的な恥と見られる可能性もあります。
日将連は、主務官庁の総務省にも撤退の報告をしなければなりません。
しかし道将連や改革推進本部は
「きっと成功させます。道内棋界を盛り立てていきます」
と熱意を伝え、日将連の理事会と合併契約を締結するにまで至りました。
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さて当該[合併契約書]では、
「当法人の最高議決機関である総会(日将連なら棋士総会・道将連なら支部代表の総会)において、そ
れぞれ承認されたならば、合併しましょう。」
というような内容にしていました。(停止条件付、契約)
これを日将連の理事会と道将連の理事会で合意し、
双方を代表して谷川浩司氏と武谷洋三氏が調印しました。
これは、世間一般のたいていの合併と比べても格別おかしな契約ではありません。
まぁ合併手続きとは、こういう手順を踏むものです。
そして総会での多数決で最終決定されるのですが、総会議案とされる項目でも、「合併」のように大き
な案件は「出席者の過半数」では可決しないことになっています。「出席者の3分の2以上」でも可決
しません。
もっとハードルが高くて「全会員(棋士)の3分の2以上」で可決するのです。
つまり総会に欠席した者も含めた総棋士数を分母とし、分子にくる賛成数は、その分母の3分の2を集
めなければ合併は承認されないのです。
道将連では承認・可決されました。
でも日将連では承認されませんでした。
出席棋士の過半数を大きく超える多数の賛成があったのですが、少数の反対と相当数の欠席棋士があり
、否決。
こうして合併話は立ち消えとなった次第です。
理事会相互での取り決めが、総会を通らなかったこの状況は、
例えて謂えば、婚約・結納儀式が済んでいたのにも拘わらず、お輿入れ直前になって婿殿から入籍をお
断りされたようなものです。
違法な結果ではありませんが、釈然としないものを感じます。
残念。
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